「セルフネグレクト」という言葉をご存知ですか?
直訳すると「自己放任」、つまり自分自身に無関心になる状態を意味します。強いストレスなどの精神的要因から陥ることが多いとされ、最悪の場合死に至ります。
しっかり生活をしたいと思ってはいるものの、経済的、心身的な理由、仕事による多忙な生活等から、結果的にセルフネグレクトの状態になることがあります。一人暮らしの高齢者の場合、生活能力等の低下に伴い、思い通りに行動しずらくなっていくことがあり、その苛立ちからセルフネグレクトに陥る方もいらっしゃいます。
さらに、高齢者に限らず、若い世代にもこの傾向が増加している実態があります。例えば、引きこもりがちになると、インターネット上でコミュニケーションがとれるSNSが主な居場所となります。しかし、SNSの限られた空間の中での人間関係で失敗をすると、セルフネグレクトに陥りやすく、また、重症化しやすいのです。
ゴミがたまった部屋で長く生活していると、自然と「改善しよう」と考えるより、つい「このままでいい」という気持ちになりがちです。改善したいと思っていても、周囲に迷惑をかけたくないという遠慮や、生活を見られたくないという羞恥心が先立ってしまうものです。
その気持ち、わかります。
しかし、家族や地域との繋がりが希薄になってきている社会的な背景もあり、周囲が個人の困り感を察知して周囲から支援していくことは、困難なことでもあるのです。ゴミを片付けたり引っ越しをしたりして、生活環境を変えることで、再出発ができた方も多数いらっしゃいます。
ゴミ屋敷は恥ずかしいことではありせん。懸命に生きてきた証なのです。気兼ねなく、SOSを発信して下さい。
セルフネグレクトの兆候として、
・食事を満足にとらない
・部屋を掃除しない
・お風呂に入らない
・病気になっても受診しようともしない
など、日常生活全般に対して無関心になります。
困難な社会的背景はありますが、周囲が気づき、連携して支えていくことも、大切なことと私たちは考えます。